
競輪は「実力主義」が徹底された世界です。
そのため、すべての選手は成績によって「クラス(階級)」が分けられています。
これを競輪選手のクラス別制度と呼び、選手はデビュー直後からこの仕組みの中で戦い、結果を残すことで昇格していきます。
クラス制度を知ることで「なぜこの選手は強い大会に出ているのか」「どうして賞金が違うのか」といった観戦の疑問が解消され、競輪をより深く楽しむことができます。
目次
クラス制度の大枠
競輪選手のクラスは大きく分けて次の3種類です。
A級(A級1班〜3班)
S級(S級1班・2班)
S級S班(トップ9名のみ)
新人選手はまず A級3班 からスタートし、成績に応じてA級1班へ、さらにS級へと昇格していきます。
最終的にS級S班に到達すれば、G1レースを中心に走るトップスター選手として活躍できます。
A級(新人から中堅選手のステージ)
A級3班(新人選手)
対象:デビューしたばかりの選手
人数:全国で約500人前後
特徴:新人シリーズやチャレンジレースで経験を積む
目的:実戦を通して力をつけ、A級上位を目指す
新人選手は必ずこのクラスからスタートします。チャレンジレースは「7車立て」で行われ、観客にとっても予想がしやすい特徴があります。
A級2班・1班(中堅選手)
対象:デビュー後に一定の成績を残した選手
特徴:レースの舞台が広がり、S級昇格を狙える位置
在籍人数:A級全体で約900〜1000人
A級上位になると、次はS級への昇格が目標になります。賞金や出走するレースの格も上がり、生活水準も安定してきます。
S級(トップを目指す舞台)
S級は、A級を勝ち抜いた精鋭が集まるステージです。
S級2班
対象:A級1班から昇格した選手
特徴:S級の登竜門
在籍人数:全国で約400人
S級に上がると賞金額やレースの規模が大きく変わります。走るバンクや対戦相手も格上となり、ここからが本当の勝負の世界です。
S級1班
対象:S級2班で好成績を残した選手
特徴:ビッグレースにも出場できる実力者
在籍人数:全国で約300人
S級1班に到達すると、ファンからの注目度も大幅に上がります。ここで安定して結果を残せるかどうかが、S班に上がれるかの分かれ目になります。
S級S班(頂点に立つ9名)
S級の中でも、さらに選ばれた わずか9人だけ がS級S班に在籍できます。
対象:年間獲得賞金ランキング上位9人
特徴:グランプリに出場するトップ選手
在籍人数:9人限定(毎年入れ替えあり)
特権:ユニフォームが黒地に赤ラインで特別仕様
S級S班は競輪界の頂点であり、日本の自転車競技を代表する存在です。
年末に行われる「KEIRINグランプリ」に出場できるのもS班の大きな特権です。
クラスの昇格・降格の仕組み
競輪選手のクラスは、成績によって定期的に見直されます。
期間:年に2回(前期・後期)
基準:直近の競走成績・獲得点数・賞金額など
昇格:上位の成績を残せばクラスアップ
降格:不振が続けばクラスダウン
この仕組みにより、常に選手同士が競い合い、競輪界のレベルが保たれています。
クラスによる賞金・収入の違い
クラスが上がるほど、レースの格も賞金額も大きくなります。
A級3班:1レースの賞金は数万円程度
A級1班:優勝賞金は数十万円規模
S級:1レースで数十万円〜100万円以上
S級S班:G1優勝で数千万円、年間賞金1億円超も可能
この収入格差は、選手にとって大きなモチベーションになります。
クラス制度があるメリット
実力が明確に分かる
選手の力が数字とクラスで表されるため、ファンが予想しやすい。競争力を維持
昇格・降格があることで、選手全員が高い意識でレースに臨む。新人の育成
A級3班の新人戦を設けることで、経験を積みながら力を伸ばせる。
まとめ
競輪選手のクラス制度は、次のように構成されています。
A級3班:新人選手の登竜門
A級1・2班:中堅層、S級を目指すステージ
S級2班・1班:トップ争いを繰り広げる実力者の舞台
S級S班:年間賞金上位9名だけが入れる頂点
クラスは成績によって昇格・降格し、収入やレースの格にも直結します。つまり、選手にとってクラス制度は「夢への階段」であり、ファンにとっては予想や応援を楽しむための重要なポイントです。
競輪観戦をもっと楽しみたい方は、ぜひ「どのクラスの選手が走っているのか」に注目してみてください。